祈り火 #9 中村のカヤ 鎮魂花火
「家の東に榧を植えるとよい」こんな言い伝えをご存じでしょうか?
長野県中川村にある古民家「七代」
ここには310年前より中川村を見守り続けてきた榧の木がありました。
しかし、3年前その寿命を全うし、伐採されることとなりました。
七代の当主である米山さんはカヤの木を植えたご先祖様の想いや伐採されたカヤの木の歴史を
伝えるため、新たに「材」として命を吹き込み、2度目の命を輝かせるための活動を始めました。
そんな時、カヤの炭の花火を打ち上げたいと相談があり、
カヤの木は炭師の原伸介さんに、そして私のところへバトンが回り、
3年越しで約束を果たす時がきました。
昨日の花火は、米山さんの想いに共感した多くの人が集まり、
カヤの事、中川村の事、大切な方の事、思い思いに花火と重ね合わせ、
時間を過ごしていた様子でした。
和火の輝きは炭そのもの。
そして炭の輝きは命そのもの。
カヤの木の炭の火の粉からは、私たちのすべてを包み込むような優しさが溢れていました。
カヤの木をキッカケにコミュニティができ、盛り上がりを見せる中川村。
カヤの木も先人たちもさぞかし喜んでいることと思う。
中川村の更なる発展を祈念して。
和火師 佐々木厳
2021年05月07日