祈り火-石垣島-にむけて
1年前、知覧での祈り火打上の際に関係者の方から石垣島の話を伺った。
石垣島には特攻隊として一番最初に飛び立った伊舍堂用久中佐と隊員の慰霊碑があり、
毎年3月26日には慰霊祭が執り行われいるという。
慰霊祭に合わせて祈り火を打ち上げるため、まだ寒さが残る2月に石垣島へと向かった。
気温は20度前後、沖縄よりさらに南西へ、どこか遠くへ来たような錯覚を覚えた。
慰霊祭実行委員の方との打合せの間に島内を一周、石垣島事件で犠牲になった米兵やソマリア感染な
ど、各所には様々な形で命を落とした戦没者の慰霊碑、そして自衛隊の駐屯地もある。
今も昔も石垣島を含む八重山諸島は国防の最前線のひとつであって戦禍の爪痕残る場所なのだなと改めて感じることができた。
戦没79年、戦争を語る人も少なくなり、ご遺族や関係者の世代も変わりつつある。
戦争体験がない世代には戦争はどこか他人事のような存在に映るのかもしれない。
しかしながら自分の家族や大切な人が同じ目にあうと想像したら、それはやはり深く悲しいものである
ことは想像できるのだと思う。
花火の音を聞いたときに「なんで花火があがっているのか?」その理由にたどり着いてくれるだけで
も打ち上げる甲斐はあるのかもしれない。
花火を取り扱う今の自分にできること、それは祈り火をもって戦没者の御霊の安穏を願い、平和への
決意表明をすること。そして離れ離れになってしまった家族や友人、大切な人と共に石垣の夜空にあが
る花火を眺めてらえたら嬉しいなと思う。
和火師 佐々木厳
2024年03月25日